恥の殿堂

恥の殿堂 (小学館101新書 58)

恥の殿堂 (小学館101新書 58)

久しぶりに落合氏の作品を読んだが、やはりアツいものを感じた。現代社会に蔓延する「恥」が如何に多いことか、そして恥の対局にある「名誉」「誇り」「愛」「信念」「気高さ」といったものが如何に少なくなってしまったかを気づかせてくれる。僕は落合氏の本はほとんど読んでいたので、多少重複している内容があったものの、それでも読後の満足感は大きかった。

恥の根底にあるのは、人の心から生まれた「グリード」である。それは欲望とは明確に異なるものである。最終章の「カネへのグリードが自己実現のデザイアを凌駕した」という一節から抜粋してみたい。

ドイツの哲学者ジョウンパウエルは、人間を「欲望の動物」と看破した。自分を磨きたい、富を得たい、有名になりたい、英語を話したい、社会のためになりたい、世界を知りたい、異性にもてたい・・・・こうしたデザイアがないと人間とは言えない。若者達は果てなき渇望に突き動かされ、未知の世界に飛び出し、時代を動かしてきた。
しかし、デザイアとグリードは別次元だ。グリードの対象は、ただ1つ、カネだけである。

そしてそのようなグリードを克服するための唯一の手段はモラルだと訴えている。

結局、人々の心から生まれたグリードを克服するのは、人の心から生み出すモラルからしかあり得ないのだ。

今の世界にモラルがある人間がどれだけいるだろうか。