キャッツ ネコに学ぶ組織を変える9つの教え

CATS!〜キャッツ!ネコに学ぶ 組織を変える「9つの教え」

CATS!〜キャッツ!ネコに学ぶ 組織を変える「9つの教え」

 

この本は出版者様に献本をいただき読ませていただきました。おそらく、書店で売っていたら買っていただろうというくらい、とても内容の詰まった良い非常に本でした。

ネコに注目して個人レベルでイノベーションを起こすために必要な要素を解説するというとても斬新な切り口な本です。僕のネコのイメージは好奇心が旺盛、危なそうに見えて実は危なくない、スマート、周囲をよく観察している、自由といったところでしょうか。よくよく考えると、これはすべて人間にも当てはまる特徴だなぁと思い、僕はどちらかというと組織にあまり縛られたくない人間なので(縛られたい人間がいるかは分からないけど)、ネコの生き方にかなり共感するなぁという感じです。ちょっとおかしな話ですが。笑

本書では、イノベーションを起こすのに立ちはだかる4つの壁を解説した後に、ネコ型人材に学ぶ9つの教えを解説し、ゆくゆくはネコ型のリーダーシップとはどういったものかを解説しています。全て取り上げるとネタばれになってしまうので、僕が最も共感した「壁」から1つ、「教え」から2つを取り上げようかと思います。


“壁” 画一的なリーダーシップ

想像性という資質は、指導したり、強制したり、管理したりして身につくものではない。

確かに管理されていては創造性は生まれにくいと思います。ただし、組織が大きくなればなるほど、管理することが必要になってきて、結構トレードオフな部分も多少はあるかと思います。ただ、日本の企業はそれでも自由度が少ない気がします。実際僕は働いていないから分かりませんが、働いている友人の話を聞いてもそうだし、研究室もかなり厳しい管理態勢がしかれているところが多い。

キャッツを育てるリーダーは自由を尊重し、垣根を取り払い、異なる意見を支持し、風変りなアイディアを擁護し、そしてキャッツに尽くすために自我を抑える必要がある。

これはもう凄い納得。というか僕が今いる研究室の雰囲気がこういう雰囲気で、ボスや僕の直上である助教の方がこのようなリーダーだと思います。研究はかなりの自由度を持ってやらせてくれて、垣根もなく様々なところと共同研究をしている。海外からも多くの人がうちの研究室に来ているし、まだまだ未熟者の僕の拙い意見やアイディアにもしっかり向き合ってくれる。大学院に入り同じテーマをやっている後輩が出来て、自我を抑えて、たとえトンチンカンなことを言ってもそれをしっかり聞いてやるというのは、かなり大事だなと思いました。後輩に主体性を持たせるという意味でも。そういうプロセスを経て徐々に成長していくものだなぁと感じます。


“教え”キャッツは、イノベーションは常識を破壊することから始まることを知っている
ネコが本当にこんなことを知っているかどうかは別として(笑)、これを読んで東大の前総長だった小宮山宏さんが僕の東大入学式で「常識を疑う力を養ってほしい」と話していたことをふと思い出しました。常識は疑うことから始める、これは正しい姿勢だと思います。特に自然科学の最先端の分野なんて、次々に新しい説が唱えられては消えていきます。僕の研究に関係あるプリオン(感染性タンパク質)も、タンパク質が感染性を持つというかつての常識を大きく破壊したある種のパラダイムシフトだと思います。

習慣とは恐ろしいもので、著者はこう例えています

魚には、泳いでる水は見えない

イノベーションが起こるときはいつも、習慣と対峙する。しかし、そうでなければイノベーションとは呼べない

そんな習慣を打ち破る方法として「場の垣根を低くする」、そのために「ゼロベース思考」の訓練をすると説いている。
その例として、常識を打ち破った人々の気になってモノごとを考えたり、本を読むことで様々な考えに触れたり、未知の場所に行ってみたり、そういう自分が作り出した場を超えるようなことを常日頃からやってみると良いんだとか。これは確かにうなずけるものがあり、ちょっと意識してやっていこうと思いました。